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目を閉じる [日本語教育]

授業中に「授業とは関係ないのですが」と学生から質問があった。彼女はミャンマーの学生で、介護現場でアルバイトをしながら、介護福祉士になる学校へ行くために日本語を学んでいる。
「おばあさんに、『目を閉めて』といったら、おばあさんは笑っていた。目を開けての反対は何ですか」
相手の反応から自分の言い方がおかしいのではないかと気が付くこの学生はすばらしい。
「『閉めて』はドアとかふた、目の場合は『閉じて』とか『つぶって』を使います。『閉じて』は静かに『つぶって』は少し力を入れる感じかな」と言って、実際に目をつぶって見せた。学生は「だから、笑っていたのですね。今度は『閉じて』といいます」とメモしていた。

閉じると閉めるの違いはそれでよかったのか、授業の後で気になった。

辞書(新明解)で確かめると
*「閉める」は開いていた窓を端まで、戸を柱や他の戸の所まで動かして隙間のない状態にする。
*「閉じる」は、①外に向かっている口などを閉めて、他とのかかわりを持たない(本来の機能が果たせない)状態にする。瞼、水門、目、口。
②今まで続いてきたものをそこで終わりにする。会、幕、店。

「閉じる」の方が機能にかかわることを言っているようだ。目の本来の機能は見ることだから、閉めて見ることができないようにするのだ。なるほど!

それでは「つぶる」は?
これは「瞑る」という難しい字を書く。
①目を閉じる 目をつむる ②死ぬ、瞑目 ③見てみないふりをする。「不正に目をつぶる」

ネットで調べると、つぶるは「潰す」からきているということを書いている人がいた。
古語辞典に つぶ・る 【潰る】があり、つぶれる、こわれる意とある。
私が「目をつぶる」は「目を閉じる」より、力を入れている感じがしたのは、潰すの語幹から来ているのかもしれない。
「つぶる」は「つむる」という言い方もある。「かたぶく」「かたむく」などのように、発音が言いやすく変化したものらしい。

明日から、台湾へ昔の学生一家と行くことになった。行先でも昔の学生と会うことになっている。知人のいる外国に行くのは楽しい。日本語の先生をしていてよかったなと思う。


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私たちは日本語を教えるかたわら、教科書作り、日本文化の紹介等の活動もしています
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