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東海 [日本語教育]

先日、中国の友人の卒寿記念パーティーでスピーチをした時の事、実は夫も詩吟をしようと一応用意していた。
題目は石川丈山の「富士山」(初心者が必ず習う物)
仙客来遊雲外巓
神龍棲老洞中渕
雪如ガン素煙如柄
白扇倒懸東海天
訳 雲の上に突き出した富士山の頂には、仙人が来て遊ぶという。
洞窟の中の淵には久しく神龍が棲んでいるという。
頂に積もった雪は扇の白絹のようであり、立ち上る煙は扇の柄のようだ。
これも一応、友人の息子(日本で仕事をしている)に意味を説明して、意見を聞いてみた。すると彼は意味は分るが東海が問題かもしれないという。中国で東海といえば東シナ海だから。親戚だけでなくいろいろな人が来るので、避けた方がいいかもという事で夫は詩吟を取りやめた。(あまり自信がなく内心ほっとしていたが)
東海は美しい響きだが、結構デリケートな呼び名なのだ。そして、中国はやはり、政治的にいろいろ気をつけなければならないことが多い。

韓国が日本海の事を「東海」と呼ぶように主張して問題になっているが、「日本海」という呼称は、1602年のマテオ・リッチ「坤輿万国全図」に最初に出現するそうで、日本が付けたものでもないらしい。日本の植民地支配と関連付けるのはおかしいと思う。

日本で東海地方(とうかいちほう)といえば、本州中央部に位置し太平洋に面する地域である。愛知県、岐阜県、三重県、静岡県の4県、あるいは愛知県、岐阜県、三重県の3県を指す。上の漢詩は富士山の見える静岡の海を表しているのだと思う。

石川啄木の短歌に
東海の小島の磯の白砂に われ泣きぬれて 蟹とたはむる
がある。
これは静岡のあたりの海なのかと思っていたら、そうではないそうだ。
ネットで探してみるといろいろな説がある。啄木は、明治40年(1907年)に故郷の岩手県渋民村を出て、函館市に移住した。「東海の小島」は、その当時啄木が友人と訪れた函館の大森浜を念頭に置いて詠われたというのが定説らしい。(参考:岩城之徳『石川啄木』おうふう)青森県の大間町、大間崎で、東海の小島は、沖の灯台の島「弁天島」という説もあるそうだ。

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