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空蝉 [日本語教育]


井の頭公園の木に蝉の抜け殻が、たくさん見られる季節になった。注意してみるとよく見る茶色のものの他に、小さ目で灰色のものがある。気を付けて見ると、一本の木に3つも4つも見られる。これはニイニイゼミの抜け殻だということが分かった。別の場所には見慣れたアブラゼミの抜け殻もあった。
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セミの抜け殻の事を空蝉というなーと思いながら、空蝉をネットで調べると、「古今和歌集」の詠み人知らずの歌に
「空蝉の 殻は木ごとに とどむれど 魂のゆくへを 見ぬぞかなしき」
というのがあった。この場合の空蝉はセミの抜け殻。
「空蝉の 殻は木ごとに とどむれど」まさに今朝の井の頭公園。セミ本体(魂)の声は公園中に鳴り響いていた。

うつせみには「うつしおみ(現しおみ)現身?」と同じ意味で、この世とか今生きている人の意味がある。「現人・当て字で空蝉、虚蝉」
思い出すのが中大兄皇子の歌
「香具山は畝傍を愛しと 耳成と 相争ひき 神代より かくにあるらし いにしへも しかにあれこそ うつせみも 妻を 争ふらしき 」 神代の昔、古(いにしえ)そして今の世も恋の争いがある。

さだまさしの歌に「空蝉」ってあったなー。これも「この世」の意味だった。


新明解には「空蝉」セミの抜け殻、虚脱した状態の意にも用いられる。とあった。
https://kotobank.jp/word/空蝉・虚蝉-2011382 精選版 日本国語大辞典
にも、同様の例がのっていた。

このセミの写真をfacebook に載せたら、サンフランシスコ在住の義理の姉から「こちらにはセミがいないので、日本いた子供のころを思い出して懐かしかった」とコメントが入った。

セミは、確かに昔の記憶を呼び覚ます。


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