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ひねもす [日本語教育]

春の海 終日(ひねもす)のたり のたりかな
与謝蕪村の有名な俳句で、今の季節によく取り上げられる。

娘とこの句の「ひねもす」ってなんだっけという話になった。
「ひねもす」と打ち込むと「終日」が出てくる。一日中という意味は知っていたが、どうして「ひねもす」という言い方になるのか改めて考えてみると不思議だ。

「すがら」は古語辞典で引くと接尾語で①途切れることなくずっと。「夜もすがら」一晩中の意味 ②の途中で「道すがら」どこかへ行く途中で
の二つの使い方があるが、どちらも見慣れた使い方だ。
「夜すがら」「日すがら」という言い方もあり「夜じゅう」「昼間じゅう」の意味は分かりやすい。


「ひねもす」の「ひ」は「日」だろうと想像がつき、「もす」は「夜もすがら」「日もすがら」としたときに「もす」という音だろう。「ね」がわからない。

ネットで探すと
「ひねもす」 は 「ひねもすがら」 の後ろの部分が省略された言い方だという説が多かった。
「ひねもす」は昔からある言葉で万葉集では「比禰毛須」と書かれているそうだ。

1、
「その 「ひねもすがら」 も,もっと遡ると 「ひへもすがら」 である。
語頭の 「ひへ」 は 「日経」で, 〈日が経る〉,つまり 〈昼間の時間の経過〉 を意味し「ひへもすがら」→「ひめもすがら」→「ひねもすがら」→「ひねもす」と変化した。

2、
「日の目もすがら」日の目は、日光。日差し。日の目を見るなどの使い方がある。
→「日目もすがら」→「ひめもす」→「ひねもす」

どちらにしても「へ」「め」などの音が「ね」に変化している。

3、もう一つは音が変化していないという説。
「ひねもす」の語源は、「日」+接尾辞「ね」+助詞「も」+「すがら」=「ひねもすがら」を省略して=「ひねもす」で、「一日中」という意味を表すというのは同じ。。
「接尾語「ね」には二つ意味がある。
1、人を表す語に付いて、親愛の気持ちを表す。「な(汝)ね」◆上代語。
2、-ね 【根】
名詞に直接、または格助詞「が」を介して付いて、そのものがしっかり大地についている意を表す。「岩ね」「岩がね」「垣ね」
どちらも、ぴんとこない。

謎が多いが
「ひねもす のたり のたりかな」の響がいいことは確かだ。

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