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うべなう [日本語教育]

題名にあまりピンとくるものがなくてこの歳まで読んでなかったデュフォーとカミュの「ペスト」をこの際と思って読んだ。
当たり前の話だが、どちらも今のコロナの感染状況、社会状況と酷似している。隔離と消毒という対策もまた同じ、行政の遅れも。そして、どちらも人間のうつ対策が功を奏したというよりペストが自ずからが収束していく。感染症というものはそういうものか。「三つを避け消毒」しか、庶民のとる方法はない。

カミュの「ペスト」
オランの街が封鎖されて、絶望的になった人々の描写の中に
・・・彼らは生きているというよりもむしろ漂流しつつ、方向もない日々と、うるところのない思い出のまにまに、自らの苦痛の大地に根を下ろすことをうべなった暁のみ生気を生じうるであろうとことの、さまよえる亡霊となり果てていたのだ。・・・・
というのがあった。
「うべなう」これも意味は分かるが、使ったことがない言葉。
うべなう・・諾う 宜う 肯う が漢字として出てくる。
宜うー「同意する」「承服する」から意味を広めて 「謝罪する」「服従する」の意味もある。
諾うー承諾の意味だから、 従う、言いなりになるの意味も。
肯うー肯定する意味
ペストが蔓延するオランの街から出ていけないことをあきらめて認めることでしか生きていけないということだ。

「宜う」を調べていたら、「うべ」と「むべ」と同じ意味だとあった。
「むべなるかな」という言葉がある。「そうか!」と納得することだ。
百人一首の有名な歌も思い出した。
「吹くからに 秋の草木のしをるれば、むべ山風を嵐といふらむ」
(そうか、だから山風→嵐 なのだ。)


ペストの様にコロナもいつかは消滅するのだろう。

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私たちは日本語を教えるかたわら、教科書作り、日本文化の紹介等の活動もしています
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