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羊羹 [日本語教育]

近所の和菓子屋さんの看板に「井の頭羊羹」とある。羊羹が大好きだが、改めてみると不思議な字だ。和菓子の代表みたいなのに羊の字が使われている。
漢字源を見ると、羊の項目に羊羹として「羊肉の羹(あつもの)」(吸い物)とあり、菓子の名。小豆を寒天で固めたものとあった。

羹は野菜や肉を煮込んだスープだ。『「羹に懲りて膾(なます)を吹く」・・熱い食べ物で口をやけどしたので、冷たいあえ物でも用心して吹いてから食べる。用心しすぎるのたとえ』
ということわざで知られている。冷めるとゼラチンが固まって、スープは水羊羹っぽく見えないこともない。
Wikipediaを見ると結構詳しく書いてあったが・・・。
羹が禅僧によって中国から伝わり、精進料理では肉の代わりに小豆などを使って代用した、それが蒸羊羹になったとあるが、どう考えても小豆が羊肉の代用になるとは思えない。

もうひとつの説、唐代の小豆で作った「羊肝餅」という説の方にひかれる。肝と羹の音が似ているので混ざってしまったようだ。
国会図書館に下の本があるので今度読んでみたいと思った。
羊肝餅と羊羹 : 日中食物交流史の一コマ (特集 羊羹)掲載誌 和菓子 / 虎屋虎屋文庫 編 (20):2013.3 p.41-47

中国語辞典では
羊羹は「もともと中国の食べ物で羊肉のスープ、日本に伝わって製法が変わり、小豆や栗で作るようになり、それが言葉とともに中国に逆輸入された」とあり、スープ説だった。

羊羹が食べたくなる文章は、「草枕」や「陰翳礼讃」・・・ これは、正に日本そのものという気がする。いいなー。

引用:
谷崎潤一郎「陰影礼讃」「かつて漱石先生は「草枕」の中で羊羹の色を讃美しておられたことがあったが、そう云えばあの色などはやはり瞑想的ではないか。玉のように半透明に曇った肌が、奥の方まで日の光りを吸い取って夢みる如きほの明るさをふくんでいる感じ、あの色あいの深さ、複雑さは、西洋の菓子には絶対に見られない。クリームなどはあれに比べると何と云う浅はかさ、単純さであろう。だがその羊羹の色あいも、あれを塗り物の菓子器に入れて、肌の色が辛うじて見分けられる暗がりへ沈めると、ひとしお瞑想的になる。人はあの冷たく滑かなものを口中にふくむ時、あたかも室内の暗黒が一箇の甘い塊になって舌の先で融けるのを感じ、ほんとうはそう旨くない羊羹でも、味に異様な深みが添わるように思う。」


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