SSブログ

知足 [日本語教育]

知足.png
うちに昔中国の学生からもらった飾り物がある。「知足」と書いてある。もらった時「吾唯足を知る」という言葉の「知足」の部分だけを壁掛けにしたのかなくらいのことしか考えず、キッチンとリビングの境の壁に掛けてあった。

たまたま、テレビで蹲に花を飾るお寺の話しをしていたので、有名な竜安寺の「知足の蹲踞(つくばい)」を思い出した。「吾唯足知」の蹲、通貨型でそれぞれの漢字に共通の「口」の字を真ん中に持ってきてそこに水が入っている。時計回りに読むと「吾唯足るを知る」となる。徳川光圀(水戸黄門)の寄進だといわれている。

今回「知足」を調べてみるた。「吾唯足るを知る」は仏教の言葉だと思っていたが出典は?

中国人からもらったので、もとは中国の言葉かなと思った。ネットで調べると
老子の言葉にあった。「足るを知る者は富む」は中国語表記で「知足者富」・・「満足することを知っているものが本当に豊かな人間」という意味。

釈迦の言葉としては 仏遺教経(釈迦の最後の言葉)「不知足者 雖富而貧 知足之人 雖貧而富」・・「足ることを知らないものは富んでいても貧しい、足ることを知っている者は貧しくても富んでいる」という意味。

どちらの言葉にも「知足」だけしか出てこない。お土産の飾りも「知足」である。漢語の語順としてはこれが正しい。漢語の語順に気を付けて竜安寺の蹲の字を読むと左回りで「唯吾知足」(私だけが足ることを知っている)となって違う意味になってしまう。


中国の百度ネットで調べるともともと漢代のお金のデザインの飾り物、記念コインのようなものとあった。(ちゃんとした説かどうかはわからないが)
http://www.360doc.com/content/18/0920/16/44544675_788281851.shtml

そもそも、それぞれの漢字に共通の「口」の字を真ん中に持ってきて、デザインするとこの並べ方にしかならない。水戸光圀は中国のこのお金型のデザインを知っていて蹲に応用し意味も持たせたのだろうと思った。
知足2.png
ふと目に入った「知足」の飾り物、それをくれた中国の学生とは、先月20年ぶりでWeChatでの再会を果たしたんだった。


*****************************************
私たちは日本語を教えるかたわら、教科書作り、日本文化の紹介等の活動もしています
私たちのホームページは以下のサイトに引っ越しをしました。。
http://www.tomo2006.net/learn.htm
正hyosi.png
nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:学問

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント