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所縁  [日本語教育]

フェルメール.png親戚の茶人がまた本を出した。「フェルメールの所縁(ゆかり)」という題で、ナチスに追われ隠し持って日本に運ばれたとされるフェルメールの絵をめぐる軽いサスペンス風の小説、歴史の蘊蓄がたくさん語られるのでなかなか面白かった。

「フェルメールの所縁(ゆかり)」とフリガナがふられた題字を見ていたら、ふと疑問が浮かんだ。なぜ、「所縁(ゆかり)としたのか。「縁も所縁もない」などと使うが、この二つは同じなのか。「縁(えにし)」という言葉もあるな。

まずは新明解 
「縁(えん)」①(仏教の思想から)ある運命になるめぐりあわせ。②婚姻肉親の関係などその事実から抜け出すことができない結びつき。<「その事実から抜け出すことができない結びつき」っていつもながら新明解は楽しい>
私が好きな中国のことわざで名刺の裏にいつもプリントしている「有縁千里来相会」(縁があれば千里離れていても出会う)の縁は、この縁だ。思えばたくさんの中国の方と縁を結んできた。

縁(えにし)は古語辞典をひくと「縁という語が歌では多くの場合シという強めの助詞とともに使われ~エエニシ アラバ~の形をとった結果、あたかもエニシがイチゴのように思われるに至った言葉」と説明されていた。エニシ=エンと考えていい。
 
「ゆかり」①たどっていけばその人に何らかの関係があること。故人のゆかりの地、<②ゆかり紫蘇の略・・これはふりかけの一種でここでは関係ない>
私の故郷淡路島は日本の国生み神話の所縁の地だ。富岡製紙工場は渋沢栄一のゆかりの地だ。

縁のほうは仏教の「因縁」からきている過去現在未来にわたる関係。所縁は「故人ゆかりの地」などの例でも分かるように、「過去」とのつながりを言うようだ。ネットで見てもそういう説明が多く納得がいった。

この小説はフェルメールの絵に所縁のある人たちが登場する。江戸末期の長崎奉行とオランダ人のかかわりから始まり、ナチスから奇想天外な方法で絵を守った人たちの話などが現代につながり、まさに所縁の物語だった。

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