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砂を噛むような [日本語教育]

先週の日経新聞に、文化庁の「国語に対する世論調査」で間違って使われている日本語についての記事があった。

例えば:
×「天地天命」に誓って 
正しくは「天地神明に誓って」この神明は神様の意味、天地の神々に誓っての意味。
*「天命」は「天から与えられた命令」で「天命を受ける」「五十にして天命を知る(論語)」などと使う。

×「論戦を張る」
正しくは「論陣を張る」論理を組み立てて議論する。
*各党の代表質問を皮切りに国会論戦が始まった
*本格的な論戦となった。

×「憮然とする」腹立たしい様子
正しくは 失望のあまりぼんやりしている状態
普通の漢和辞典では「憮然」で失意の様とあったが、・
Weblio類語辞書では「不満の心情などがあらわれた態度のこと」
という意味の方が載っていたので、こちらも、かなり一般化しているのだと思った。

×「砂をかむような」 悔しくてたまらない
正しくは、無味乾燥でつまらないという意味。
私たちの世代では「砂を噛むような」で思い出すのは、1960年代のフォーク歌手の「高石ともや」が歌った「受験生ブルース」
<おいで皆さん聞いとくれ。僕は悲しい受験生。砂をかむよな味気ない、ボクの話を聞いとくれ。・・・・・・・・・・・・・・・>
この歌を知っている人は間違えないなと思った。古いねといわれるだろうが。(苦
笑)
「悔しくてたまらない」と勘違いするのは「臍(ほぞ)を噛む」と混乱してしまうのかもしれない。「臍」は「へそ」とも読む。おへそを噛むことはできない、つまり、「どう頑張ってもできなくて悔しい」ということになる。(中国の春秋左氏伝が出典だそうだ)
「臍の緒」は(へそのお、ほぞのお)どちらも使うが、「臍(ほぞ)を噛む」の読み方は(ほぞ)だけだ。

毎年、こういった調査が出るが、言葉は変わっていくものだという風に締めくくられることが多い。今年の場合は学生など若い人については、毎年の調査をもとに学校で気を付けて教えられるためか、正答率が高くなっているという結果出ていて、興味深かった。

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