～にともなって

「中級へ行こう」文法に「～にともなって」が出て来る。
N／辞書形+にともなって　の形で一方の変化とともに他方も変わること
「女性の職場と言われていたところで、男性も働くようになるに伴って、看護師、介護福祉士などのように職業の呼び方が変わった」という文脈で出てくる。
Nに関しては「地球の温暖化にともなっていろいろな問題が起きている」

①「一方が変化すると、それに応じて他方も変化する」という相関関係を表す言い方には
～につれてN3、～にしたがってN3、~とともにN2、～にともなってN2の４つがある。
このなかで、～にともなっては、②「～の原因や理由で～が起こった」という使い方もあるのが特徴だ。この時、～に入る言葉は徐々に変化する変化の過程ではなく変化の結果である。
伴っての伴という字には一緒に行くという意味がある。それで、同時にとかすぐに結果が出る場合に「～ともなって」が使われる。
「中級へ行こう」ではこの意味の説明はない。

①の例文
長男は成長するにともなって、歴史に興味を持つようになっていった。
人口の増加に伴って交通渋滞や大気汚染が問題となってきた。
加齢に伴って体力が低下する。
円高に伴って外国旅行をする人の数が増加している。
病気の回復に伴って、薬の量を減らしていく。
少子高齢化に伴って生産活動の中心となる15歳以上、65歳未満の人口が減っている。

②の例文(～につれて、～にしたがって、~とともに は使えない)
バス停の場所の移動にともなって、時刻表にも変更がある。
首都機能移転に伴って公務員の入れ替えをする
父の転勤にともなって、引越しすることになった。
事務所移転に伴って、複合機の購入を考えている
化学工場の爆発に伴って、大火災が発生した。
本文の「女性の職場と言われていたところで、男性も働くようになるに伴って、看護師、介護福祉士などのように職業の呼び方が変わった」はどちらかといえばこの使い方だろう。


「中級へ行こう」には（　）内を作文する練習問題があるが、この課の解答例が何となくしっくりしない。
・街が大きくなるにともなって（うるさくなった。）
・インターネットの普及に伴って、（いろいろなことがすぐ調べられるようになった。）
・（仕事が忙しくなるに伴って）、ストレスが増える。
・（年を取るにともなって）体力がなくなる。
・（子供が大きくなるにともなって）家族が一緒に出掛ける機会が減ってきた。

間違ってはいないのだが、～ともなって（N2レベル）という語に合った言葉が使用されていないからだろう。
学生が作りやすい文だし、内容もわかりやすいので、こういう文になっているのだろうが、言葉のレベルを合わせることも大事なのではないか。難しい言葉遣いは読んで内容がわかればよく、無理に作文しない方がいいように思う。
教室にいる学生によって違うし、中級以降の文法には悩ましいことが多い。

＊教科書の答は下の文のようならしっくりくるのだが。
・合併によって市が大きくなることに伴う市民負担の増大、サービス水準の低下が心配されている。
・インターネットの普及に伴って、様々な情報が素早く、簡単に入手できる時代となった
・社会がどんどん複雑化していくのに伴ってストレスの種類も増ええいく。
・加齢に伴って体力が落ちていく
・子供の成長に伴って家族が一緒に出掛ける機会が減ってきた。

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