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直会(なおらい) [日本語教育]

日本語教師を始めたころの教え子に優秀な韓国人の女性がいた。昔の日本語能力試験1級で全国一位になったことを記憶している。彼女は熊本の老舗旅館の跡継ぎ息子と結婚し、熊本で旅館の女将を務めることになった。今は、女将の組合の活動やや日韓交流でも活躍している。そして今熊本の新聞の「私を語る」欄に自分の来し方を連載している。

思い出話の中に熊本大学民俗学部で卒論を書いたときのことがあった。日本の文化や神事を学ばないと女将はできないということで神社や祭りについての論文を書いたそうだ。
「卒論作成では、先生をはじめ、多くの先輩や友だちの助けを借りました。神社や祭りに関する用語の読みは特殊で、外国人にはかなり難解でした。例えば手水舎[ちょうずや]、注連縄[しめなわ]、御神酒[おみき]、柏手[かしわで]、神馬[しんめ]、山車[だし]、直会、流鏑馬[やぶさめ]など。・・・」

ここを読んでいて直会[なおらい]という言葉を知らなかったことに気づいた。
新明解には「直る」の変化=「直らふ」連用形「直らひ」の名詞用法、祭りの儀式が終わった後、供物や酒のお下がりを参列者一同で分けて食べる宴会のこととあった。

仏教の精進落としの様に神聖な行事が終わった後に、日常生活に戻るという意味もあるようだが、実はもっと深い。神様に備えたものを皆で分けあって食べるという神と人との共食によって神の力を分けてもらう意味があるようだ。神様に備えたものを皆で食べるということは知っていたがそれを「直会」という言い方は、初めて知った。彼女はもう何十年も前に知っていたんだなとちょっと感動した。

日本語学校の講師をしていてうれしいことの一つは、昔の学生の活躍を知ること、連絡が途絶えない昔の学生がいることだなと思う。

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私たちは日本語を教えるかたわら、教科書作り、日本文化の紹介等の活動もしています
私たちのホームページをご覧ください。
http://www014.upp.so-net.ne.jp/nbunka/learn.htm
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