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忖度(そんたく) [日本語教育]

オバマ大統領の広島訪問が実現した。
<演説の一部>
「亡くなった10万人を超える日本の男性、女性、子供たち、数千人の朝鮮半島出身の人々、そして捕虜になった十数人の米国人を追悼するためだ。」

「科学の進歩に見合うだけ人間社会に進歩がなければ破滅が訪れる。原子核の分裂を可能にした科学の進化と同様、道徳の進化(a moral revolution)も求められている。」

「世界中の子どもたちが同じように平和に過ごせるようになる、その未来の中で広島と長崎は、核戦争の夜明けとしてではなく、我々の道義的な目覚め(moral awakening)の始まりとして記憶されるだろう。」

原爆投下についての謝罪の言葉がないという意見もあるが、moralという言葉を何度も使って原爆投下は道義的に間違っていたということを言っていると思う。レガシーづくりという人もいるが、まず、広島に行く事に高いハードルがあったわけで、訪問したことに意義があるし、追悼の気持ちがあふれていたと思う。

夜の「今夜も生でさだまさし」で、同じようなことを言っていた。その時使われた「忖度(そんたく)」という言葉が気になった。さだまさしは「言葉にしていない」原爆で亡くなった人人への哀悼と謝罪の気持ちを汲み取るべきだという意味で使っていた。

 相手の意向や考え、あるいは気持ち・心を思いやる。「忖度」は、そんな優しい心遣いの意味合いでも使われる言葉だが、小沢一郎の「忖度政治」とか政治の世界で使われることが多かったので、ちょっと悪い意味が染みついていた。上下関係の下のものが上のものの考えを推し量って行動するというような意味だ。

忖度はもともと詩経に出て来る言葉だそうだ。
他人有心予忖度之
.タニンココロアリワレコレヲソンタクス
他人の心を、予(われ)は之を善く推測する(詩、小雅、巧言篇)
もともとの意味に上下関係はない。

マスコミでの使われ方が本来の意味に色を付けてしまうことがある、
それに知らず知らず染まっている自分もいる。


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