SSブログ

楽しく うれしく [日本語教育]


NHKの朝の筋肉体操の先生が言っている言葉が毎回気になる。その日の体操を説明してから、みんなでやってみる時に「~楽しく、うれしく・・・やりましょう~」と声をかけている。たまに、運動がきつくて苦しそうな顔をする人もいるが、普通は皆さん楽しそうにやっているし、にこにこうれしそうな顔をしてやっているので、問題ないといえばいえるのだが。日本語教育で「うれしい」と「楽しい」を使い分けてと説明している身にすれば、何か落ち着かない数分間だ。

日本語教育的には、「うれしい」は、自分の一時的な感情をあらわし、例えば「わたしは合格してうれしかった」「あなたが来てくれてうれしい」というように、何かがあってその時に感じた満足感や喜びの気持ちを表す。「楽しい」はもう少し長く続く愉快なうきうきした感情を表すし、自分だけでなくほかの人の感情や一般的な感情にも使う。「今日はみんなで遊んで楽しかった」「楽しく体操しましょう」「これは楽しいゲームですね」などと例文を使って説明する。

「楽しく」体操しましょう」は、体操しながら楽しい気分が続く状態だからいい。
「うれしく」体操しましょうは? そもそも「うれしい」は何か事があって、その結果「うれしい」という感情が起るのだから「うれしく~する」という言い方はないはずだ。しばらくその状態が続くときは、うれしいという言葉は使わないと学生にも教えている。「うれしく・・・やりましょう」は日本語的には×のはずだ。

でも、この体操の先生はあえて「うれしく」を使っているのだろう。新しい体操を覚えてうれしい、難しい体操ができてうれしい。それを、体を動かしながらその一瞬一瞬に感じて体操しなさいということか? でも、どうも耳にひっかかる朝の数分だ。

****************************************
私たちは日本語を教えるかたわら、教科書作り、日本文化の紹介等の活動もしています
私たちのホームページは以下のサイトに引っ越しをしました。
https://ihongo-pc.sakura.ne.jp/learn.htm
正hyosi.png


nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:学問

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント