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やばい [日本語教育]

食べ歩き番組などで、美味しいものを食べて「うわー、これはやばい」などと言ってそのおいしさを表現しているのをよく見る。最近は慣れてきたが、始めの頃は変な言い方だなと思っていた。

「やばい」は、新明解には、話し言葉であり、もと、犯罪者や非行少年などの社会での隠語
①警察に捕まりそうで危険だ
②不結果を招きそうで、まずい   
ということとある。
②は危篤状態になったり、会社がつぶれそうな時「もう、やばい」というように使うのだが、私は普通の生活では使った覚えがない。
広辞苑にはさらにそっけなく、危険を意味する隠語としか書いてなかった。

その広辞苑が、2018年1月の発売の第7版に今風の使い方の「やばい」を入れることになった。その意味として「のめりこみそうである」と書かれるそうだ。
この味やばい→この味にのめりこみそうだ・・・よさそうではあるが。

「のめりこむ」もともとは「前のめり」という言葉もあるように、前の方に倒れそうで起き上がることができない意味だ。そして、ずるずるとある方向に引っ張り込まれる、抜け出せなくなるという意味もでてきた。
「のめりこむ」も「博打にのめりこむ」など悪い意味が多いような気がする。「研究にのめりこむ」も「異常なまでに研究にのめりこむ」という尋常ではないという悪い意味を私は感じてしまう。
だから「この味やばい」つまり「のめりこみそうな味」というのは、美味しいけれど何かくせになる危険な味?

でも、テレビなどで使われている使い方はもう少し軽く「程度が甚だしい」という意味だけなのではないかと思う。「すごくおいしい」「超うまい」が使われすぎてきたので、新鮮な言葉で言い換えただけのような気がする。また、イベントなどがすごく盛り上がった時「この状態やばくない?」というのは「自分がのめりこみそう」というのでなくて、「盛り上がりがすごい」という意味なのだと思う。

広辞苑では、ここまでの使い方は許容できなかったのか??

考えてみれば「すごい」だって、昔は「寒くて身に応える」とか「恐ろしい」意味から「(ぞっとするほど)すばらしい」意味が生れた。言葉は変化する。だからおもしろい。

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