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好きくない [日本語教育]

スタジオ地図制作 細田守監督の「未来のミライ」を見てきた。
圧倒的な映像美、作画力の高さは思った通りで大満足だった。
冒頭の横浜?の俯瞰図(鳥観図)から圧倒された。航空写真より鮮明でしかも美しい。段差のある土地をうまく利用して建てられたこの家族の家がおしゃれ、未来の東京駅の映像美、ファミリーツリーを連想させる細かい縦横つながりの線の中を移動するシーンなど、本当に見ごたえがあった。

しかし、台詞の中に出てきた「好きくない」という言葉が、耳について落ち着かなかった。
4歳の子供が発する言葉だからと最初は無視していたが、途中で親たちも「好きくない」を使い始めたので「???」となってしまった。

「好き」は「みんなの日本語」第9課ででてくる。
「が好き、が嫌い、が上手、が下手」と対象に助詞「が」を取るものでまとめられている。
な形容詞の仲間として教えているので否定形は「好きじゃない」になる。

どうして「好きくない」がどうどうと出て来るのか。
 
辞書を見ると
「好き」は動詞「好く」、「嫌い」は動詞「嫌う」の連用形の名詞化したものとあった。
これに「な」がついて、な形容詞「好きな」「嫌いな」
動詞の変化で考えても「好く」の否定形は「好かない」で「好きくない」ではない。

これは単純に形容詞の活用と間違えている。でも、子供が間違えるのはいいとしてもどうして大人が「好きくない」を使う?

「違っていた」を「違かった」という人がいるように、今増えている言い方なのだろうか?
ネットで探してみると、好きじゃないという主観的な思いをはっきり主張するのでなく
「対象に対する客観的な評価として「好き」と相反する状態であることを宣言している」
言い方なのではないかという意見があった。
http://d.hatena.ne.jp/lar-lan-lin/20160102/1451696287
なるほど。

でも、大人がニュアンスを心得ていて遊びで使うのはいいが、小さい子が「好きくない」と使ったら、やはり大人は「好きじゃないって言わないで、かわいがってあげて。」というふうにアニメの中でも対応して欲しかった。

アニメとしては素晴らしかったのに、変な所でひっかかってしまった。

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私たちは日本語を教えるかたわら、教科書作り、日本文化の紹介等の活動もしています
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http://www014.upp.so-net.ne.jp/nbunka/learn.htm
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