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孀婦岩(ソウフガン) [日本語教育]

NHKスペシャルで孀婦岩の事をやっていた。
「東京都心から南へ650㎞の伊豆諸島最南端。大海原にそびえる巨大な岩の柱だ。高さ100mの断崖絶壁、東京都・孀婦岩(ソウフガン)」。

海底火山が噴火して固まったマグマが荒波に現れてむき出しになったものだそうだ。
その景観や成り立ちにも驚いたが、その名前にも興味がわいた。

海面に雄々しく聳え立つ岩山だが名前は孀婦=未亡人のことだというのは面白い。
孀という字は今回初めて知った。意味は寡婦=やもめ=未亡人だ。中国語では霜だけで寡婦の意味があるらしい。

妻に死なれた男の場合は、昔は同じく「やもめ」といっていたが、「やもお」または「おとこやもめ」ともいうようになったという。「おんなやもめ」という言い方もある。
そういえば「男やもめに蛆がわき女やもめに花が咲く」という笑える諺があるな。

「やもめ」をWordで打つと、寡、鰥夫、孀の字が出て来る。今でも、男女をとわず、連れ合いに死に別れた人を指す言葉なのだろう。

鰥は「かん」寡は「か」と読む。ネットで調べると、古くは『孟子』に登場する言葉だそうだ。
Wikipedia「日本では平安初期の法律解説書である『令義解』の注釈にて具体的な解説が載せられており、「鰥」とは61歳以上のやもめ(妻を亡くした夫)、「寡」とは50歳以上の未亡人、「孤(惸)」とは16歳以下の父親のいない子供、「独」は61歳以上の子供がいない者を指したが、実際の運営上は鰥は60歳以上、独は50歳以上とされていた」

この文字は、そういえば、五箇条の御誓文の翌日に、民衆に向けて出された「五榜の掲示」、これは高札立て札に草書で書かれていたので古文書読みの練習本に載っていたことを思い出した。
0039l.jpg
「五榜の掲示」
第一札
   定
一 人タルモノ五倫ノ道ヲ正シクスヘキ事
一 鰥寡孤獨癈疾(かんかこどく)ノモノヲ憫ムヘキ事
一 人ヲ殺シ家ヲ焼キ財ヲ盗ム等ノ惡業アル間敷事
   慶應四年三月   太政官



海中に雄々しく聳え立つ岩に「鰥夫岩」ではなく「孀婦岩」と付けたのはやはり「男鰥夫に・・・・」の諺もあるからか。面白いなと思った。


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