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~の右に出る者はいない [日本語教育]

オリンピック関係の放送だったか、右に出るものはいないという言葉が耳に入ってきた。
右という位置が上であるということからできた言葉だが、位置関係をあまり気にしないで使っていた。

自分の右側が、自分より上の人ということだ。

自分の右側が、自分より上の人ということなら、左遷というのも低い地位に飛ばされるという意味も人ぴったりくる。

「右に出る者はいない」はもともと中国前漢の時代の故事からきている。劉邦が趙王の膝下をほめて、漢の臣下で「无出其右(彼らの右に出る者はいない)」といったという。このころは、右が上位だった。

しかし、前に、お雛様の飾り方で書いたかもしれないが、昔の日本は左方上位の考え方(自分から見て上の人が左側に来る)があり、今でも京都など関西での並べ方はこちらから見て右側が女雛、左側が男雛だ。また、向って右側が左大臣(右大臣より位が上)左側が右大臣。明治時代に皇室が西洋風の並び方にするようになり、ひな人形も関東では向って左側が女雛、右側が男雛になった。

日本では、本当はどちらが上位なのだろう。疑問に思って調べてみると、実は中国で上位の位置が時代によって異なり、それが日本に伝わったものだということが分かった。前漢の時代は右方上位、それが、唐の時代になって左方上位になったそうだ。
平安時代にそれが伝わり、江戸時代まで続き、明治時代に西洋風が取り入れられたという。

そういえば、空海が恵果和尚の下で修業し密教の奥義を授けられた西安の青龍寺。今年の3月にそちらを初めて訪れた。中には恵果と空海を祀ったお堂がある。ここでは向って右に恵果左に空海の像が祭ってある。同行者が、お寺の人に向かって右側が高位ですかと確認したらそうだという答えだった。確かに唐の時代の左方上位だ。IMG_0009s.jpg
中国では何度も上位の位置が変わったそうで、現在はどちらが上位かあまり気にしていないともいう。習近平さんが外国の首脳と握手している写真は向って右に立っている絵が多い。意識しているのかどうなのかちょっと面白い。

左方上位の考え方とは別に、前漢の諺がそのまま生きて「右に出る者がいない」と使っているのも面白い。




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