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を問わず [日本語教育]

同僚からSOSのメールが来た。
日本語総まとめN2文法7週1日目で
「…を問わず」なのだが
「経験の有無を問わず、募集」はいいのだけど。
「年齢を問わず多くの人が集まった」の例文はおかしくないかということだった。

「年齢を問わず多くの人が集められた。」
「年齢を問わず店員募集」とか「年齢を問わず能力のある人を採用します」
などはおかしくないが、「集まった」は変なのではないかというのだ。

そういわれると
「ある人が問わない」のだから、後半も「同じ人が何かをする」のでないとおかしいような
気がしてきた。
いくつか文を作ってみると余計そんな気がしてきた。
商品の数や金額を問わず、送料は無料です。(これは無料に決めているということだ)。
昼夜を問わず、外出自粛(と決めている、決められている)
男女を問わず能力のある人を採用します。

しかし、参考書やネットの文例を探すと
「年齢を問わず多くの人が集まった」と同様の文がたくさん見つかった。
「…に関係なく」「…を問題にしないで」の意味だから当然といえば当然だ。
そのお祭りには年齢を問わず、多くの人々が訪れた。
近頃は男女を問わず大学院に進学する人が多い。

しかし、友達が変だと言いながら作った次の文
「賛否を問わず、必ず投票してください。」
賛否に関係なく必ず投票してくださいの意味になるが、どうにも違和感が
「賛否に関わらず、必ず投票してください」と書くだろうな。

何か、まだ、割り切れない。
でも、学生には「…に関係なく」「…を問題にしないで」と同じと教えることになる。
時々、日本語を教える時に、はまってしまう罠の一つかもしれない。


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私たちは日本語を教えるかたわら、教科書作り、日本文化の紹介等の活動もしています
私たちのホームページは以下のサイトに引っ越しをしました。。
http://www.tomo2006.net/learn.htm
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“石敢当 (いしがんとう)” [日本語教育]

散歩でいつも通らない私道のようなところを通った。立派なお屋敷の門の下の方に「石敢當」
と書いてある獅子のような顔が付いた焼き物のお札が貼ってあった。
石敢當.png
写真を撮って家に帰りネットで調べると「石敢當(いしがんとう)」という魔よけのお札だ
ということが分かった。沖縄で古くから信じられている魔物=マジムンを撃退する、魔除け
石や焼き物、木、今では木やガラスなどでもつくられるそうだ。
Wikipedia「魔物「マジムン」は直進する性質を持つため、丁字路や三叉路などの突き当たりにぶつかると向かいの家に入ってきてしまうと信じられている。そのため、丁字路や三叉路などの突き当たりに石敢當を設け、魔物の侵入を防ぐ魔よけとする。魔物は石敢當に当たると砕け散るとされる」。

確かにその門はL字型の道の奥にある。「マジムン」が入ってきそうな木の茂ったお庭の奥に大きな古いお家。この一角は新築の家が多い町内とはちょっと違った雰囲気だった。

マジムンはどんな形?様々なマジムンが伝えられている。「動物の姿をしたマジムンに股をくぐられると死んでしまうので、決して股をくぐられてはいけないといわれる」この記述はあちこちに出てくる。ハブの形をしているものもいるそうだ。なんだかよくわからない。ネット上の画像も様々でイメージがつかめなかった。

「沖縄マジムン図鑑―みんなのまわりにいる、あんなマジムン、こんなマジムン作者: 比嘉淳子,山里將樹」という本があるようだ。
マジムンは、沖縄の言葉。妖怪、妖精、幽霊を意味する。要は「見えない世界の住人」
とあり、その一つとして「キムジナー」が挙げられていた。「キムジナー」なら「ゲゲゲの鬼太郎」でおなじみだが。(この本ネットで買ってみようと思ったら売り切れだった)。

大学入試共通テスト問題の国語を見たら第一問が「江戸の妖怪革命」についての設問。結構簡単にできていい気分。
半月遅れの初詣は調布の深大寺で「角大師」の厄除けお札もいただいてきたし。
今年もいろいろなことに興味をもって楽しくやりたい。


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そやさかい [日本語教育]

NHKの朝ドラの関西弁が気になる。幼い時に祖母が言っていた言葉が耳に残っていて
それが出てくると何となく懐かしい。
「そやさかい」・・・そうだからのような意味
子供心に意味は何となく分かるが「さかい」って何だろうと気になっていたことが思い出さ
れる。「そや」は「そうや」→「そうじゃ」の意味ということは想像がついたが、「さかい」の謎を調べてみたいと思った。


ネットで探してみると、何故かまず中国語のサイトが最初に見つかった。
「沪江日语」
京都方言“そやさかいに”的衍变史https://jp.hjenglish.com/new/p559494/

日本文を載せて、それを翻訳して載せていたので、その中に出てくる人を検索して
次のサイトにたどり着いた。
https://japanese.hix05.com/Language3/lang304.soya.html
「作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2008-2012
このサイトは作者のブログ「壺齋閑話」の一部をホームページ向けに編集したものである」
とあり、私の疑問についてわかりやすく説明してあった。

「言語学者の堀井令以知氏によれば、「さかいに」は「さけー」とか「すかい」とかの異形があり、もともとは理由を示す「けに」に接頭辞の「さ」が加わって「さけに」となり、それが「さかいに」に転じたのであろうという。」
そのあと、この方は「けに」の例文を古典から見つけ出している。

「泣く泣くよばひ給ふ事、千度ばかり申し給ふけにやあらむ、やうやう雷鳴止みぬ」(竹取物語)・・・おっしゃられたからであろうか。という意味になる。

現代の方言でも、理由のだからの使い方がある。
そじゃけに それだから。「そじゃ」は「そうじゃ」のつづまりで,「そのとおり」ということ,「けに」は「だから」である。

「けに」が理由の「だから」になった経緯を このサイトでは次のように書いている。
古語 彼(か)と有りの已然形(あれ)が結合した「かあれ」の略・・かれ
奈良時代以前には已然形だけで規定の条件を示す語法があったので。「かあれ」だけで
「かあれば」の意味を表した。(古語辞典より)だから、それゆえの意味になる。
「だから」の意味の「かあれ」がある。Kaare→ke かあれが「け」に変わったという風に
筆者は想像している。


私は専門家ではないので何とも言えないが、「そやさけに」「そやさけえ」「そやさかい」
という変化はありそうな気がする。
懐かしい祖母の声とともに思い出す「そやさかい」だ。


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~から見ると ~からいうと [日本語教育]

お正月で日本語から遠ざかっていた。8日から授業があるので準備を始めたが、なんだか頭が回らない。

日本語総まとめN2 第6週2日目簡単なようでややこしかった。

まず、「~からいうと」 と 「~から見ると」の使い分け。
~からいうとは「客の立場からいうと」のように客として意見を言えばなのだが
「客からいうと」のように、「人からいうと」の形は使わないとある。
そういえば「私からいうと」とは言わないで「私に言わせれば」「私に言わせてもらえば」という言い方をするかもしれない。

~から見るとは「人から見ると」が使えるとある。しかし、例文は
日本の習慣には外国人から見ると妙なものもあるだろう。
昔の人から見ると、現代人の生活のリズムは早すぎるかもしれない。
の二つだけしかない。
Nから「見ると、見れば、見て、見ても」と説明があるだけで例文がないのは不親切だ。
最近の社長のやり方から見ると、新しい事業を考えていると思う。
便利さという視点から見て、都会の方が暮らしやすい。
故障の程度から見れば、このパソコンはもう使えないことは明らかだ。
などの例文を考えてみた。


<宿題のために作った問題>
(aぼくから見ると bぼくからいうと)君たちのけんかの原因はつまらないことだ。
ここの「bぼくからいうと」はやはり弱いと思う。「ぼくにいわせれば」 なら自分が意見を言いたい雰囲気がでる。そもそも、無理に例文をと考えるから変な文ができることがある。
普通に話している時、自然に出てくるのは「わたしにいわせれば」であって「わたしからいうと」ではない。

学生には「決まりです」と教えてしまった方が、迷わないだろうが、「見る」と「いう」の違いが気になった。

やはり「見る」は受動的に目に入ってくる意味合いが強いが、「言う」はしっかり考えて自分の意見を伝えるという能動的な意味が強い。だから、「~からいうと」に「人」を使う時立場とか側をつけないとしっくりこないのかもしれない。

しかし、手持ちの参考書には何故「(人)から見ると」はよくて「(人)からいうと」はおかしいのかの説明が載っていないので、もう少し調べてみたい。


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