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おっかない → おほけなく [日本語教育]

N1の語彙、総まとめ1週2日目 気持ちを表す言葉とあって、「うざい」「むかつく」など、若い人が会話でよく使う言葉もでてくる。

そして「おっかない」が出てきた。
「おっかない」は、「こわい」という意味で、「おっかないお化け」とか「おっかない先生」とか、子供の頃よく使った気がするが、おとなになってからは、ちょっとおどけて「おばあちゃんは、いつもは優しいけど怒るとおっかないよ」とか、友達が大したことがないことについて厳しく批判したりした時に「おお!おっかないなー」と茶化したりするときに使うくらいだったが、ここで、意味を調べてみた。
古語辞典には「おっかなし」(①おそろしい②多いの関東方言、関西では「ぎょうさん」
新明解では「こわい・おそろしい」の口語表現とあった。特に語源は載っていない。

しかし、ネットでは語源として「おほけなし」をあげている人がいた。「身の程をわきまえず、そらおそろしい。」からきているという。「おほけなし」は古語辞典に「身の程知らずである。身の程をわきまえず そらおそろしい」とあって、

まあ、学生に説明するのにこれは必要ないと思ったが、「おほけなし」が気になってしまった。
おほけなし→おほけなく「おほけなく 浮世の民に おほふかな 我が立つ杣に 墨染の袖」 何だか意味が分からないままに 百人一首で丸覚えしていた前大僧正慈円の歌を思い出した。

今回改めて意味を調べて、なるほどと思った。
「おほけなく・・・・・そら恐ろしいことに身の程もわきまえないことだが、
浮世の民に・・・・・辛い浮世を生きる民たちに
おほうかな・・・・・覆ってあげようかけてあげようか
我が立つ杣に・・・・・杣(木を切り出す山―比叡山を表す)に住む私の
墨染の袖・・・・法衣のそでを
つらい浮世を生きる民たちを覆ってやろう。この比叡の山に住む私の、墨染めの袖で。

政情が安定しない鎌倉時代に比叡山から世の中を安定させようとした気持ちを詠んだ歌だったんだと今さらながら納得。暗記してたのに「おほけなく」「おほうかな」があまりピンときてなかった。

N1は予習しているうちに、横道にそれてしまうことが多い。

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