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かつて 曽て 嘗て [日本語教育]

手紙の下書きを書いていた夫が「【かつて】って どんな漢字だっけ」と聞いてきた。
頭の中で「かつて だっけ、かって だっけとか考え出して、ちっとも漢字が浮かんでこない。しかたなく、辞書を引く前にスマホに頼った。夫が自分ですればいいことなのにといいたいが、言葉の事だと ついこちらが乗ってしまう。
「嘗て」と「曽て」が出て来て、そういえばそうだったという夫と私。年なんだなあ。

「かつて」の意味は、「以前」のやや改まった言い方と、昔から今まで一度もという意味(「いまだ かつて なかった」など)が辞書には載っていた。ネットでは以前というより、もっとずっと昔の意味だという説明もあった。

漢字を今回改めて並べてみて、不思議に思った。曽ては「曽祖父」という言い方があるから、ずっと昔のという意味が分かるが、嘗ての漢字は「臥薪嘗胆(がしんしょうたん)」の「嘗」だ。なんで、「なめる」という字なのか?
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「嘗」を漢和辞典で調べると、会意兼形声でできた字、「旨い味を(舌の上に)載せる」転じて、試してみる意味になり、さらに転じて「やってみた経験が過去にある」ということから「以前」をあらわす「かつて」という副詞にあてられたと書いてあった。なるほど、以前の味の記憶なんだ(笑)。
では、「曽て」のほうは?これは、象形文字からきていた。漢和辞典によると、上の八は「湯気」、田は実は「印」の字で物を蒸す「こしき(甑)」を表す。下の「日」はコンロを表す象形だそうだ。やはり重なっているところから、経験が重なっている=「以前」を表す「かつて」に充てられたそうだ。

結構、連想ゲームのように漢字が作られていくのが面白い。

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