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~に限って~ない [日本語教育]

TRY!N2の最終段階
まとめとして「似ている文型リスト」をやっている。

昨日は 「~に限る」 を使う表現を復習した。

「~に限って」では 
1、「~の人は~の傾向がある」
「よく知らないやつに限って、偉そうなことを言う」
2、「~の時に運悪く」
の二つの文を例として使った。

するとこれより前に復習した「~に限って~ない」
「うちの子に限って万引きなんてするはずがない」
と「急いでいる時に限ってバスが来ない」は
どう違うといって、混乱した学生がいた。
「~に限って~ない」という形に、引っ張られての混乱だ。



「うちの子に限って万引きなんてするはずがない」の
「に限って~ない」は、自分が信じている「この範囲の人やもの」(子供、恋人、同僚、メーカー、店など)には、たとえ、悪いことがあったとしても信じられない否定したいという時に使う。

2「~の時に運悪く」の「~に限って・・・」
 これは「人や物」でなく、「急いでいる時、雨の日、お金がない時、忙しい時」などというように「時とか場合」を限る。

混乱した学生は、形が似ていても入る言葉が違うということを説明したら納得した。

「似ている文型」をまとめて勉強するのは、復習としてなかなかいいなと思った。

来週は学期休みなので南インドに行く。ヒンズー教や仏教の遺跡見るのが楽しみ。
学生に会うのも楽しみ。


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私たちは日本語を教えるかたわら、教科書作り、日本文化の紹介等の活動もしています
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http://www014.upp.so-net.ne.jp/nbunka/learn.htm
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蓋し(けだし) [日本語教育]


知っていても何となく使いにくい言葉がたくさんある。

蓋しがその一つ。
「夜半の風、蓋し強し・・」の文面で覚えたような気がするが、何の文だったか記憶にない。
意味は「夜半には、風が強くなるだろう」というような意味だろうが、普段、自分では「蓋し」は使わないと思う。

【蓋】  [音]ガイ(慣) [訓]ふた おおう かさ けだし

【蓋】は大きく二つの意味がある。
1、かぶせる意味
[音]ガイ(慣) [訓]ふた おおう かさ けだし
① 上から覆いかぶせる。「蓋世」
*「史記」項羽本紀の「力は山を抜き、気は世を蓋(おほ)う」から。「かいせい」とも読む。
  世をおおいつくすほど意気が旺盛なこと。功績や名声などが大きいこと。

② 覆い。ふた。かさ。「円蓋・口蓋・頭蓋(ずがい・とうがい)・天蓋・無蓋・有蓋」
*口蓋、頭蓋など、介護の学生たちが苦労して覚えなければならない字だ。

2、 文頭にかぶせて、推測することを表す語。おもうに。けだし。「蓋然性」
*その要件が発生する確率が高い要件。蓋然性が高い、低いであらわす。
 蓋上世嘗有不葬其親者(孟子)<思うにはるか古の時代親が死んでも葬らなかった>
 与会者蓋一千人(現代中国語辞書の文例から)<参加者はおよそ千人>
中国語にあったこの意味に、「けだし」という日本語をあてたのだ。

「蓋し」は確率が高い、でも、100パーセントではないときに使う。
「新明解」には「十中八九間違いがないだろうという、主体の見込みを表す」と本当に明快な説明があった。

わたしは可能性が高いが100パーセントではない時、冗談めかして「たぶん、きっと、おそらく」などと重ねて言うことがある。これを「蓋し」と使えばいいのだろうが・・・。

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竹かんむり の形 [日本語教育]

take.jpg
「中級から学ぶ日本語」で9課の漢字のテストを返した。中国の学生は戸籍の籍の字の竹冠を、左の様に書くので、日本語では右のように書いてくださいと教えた。中国の学生は漢字が得意だが、中国字と日本字は細かい部分で違うことがあるので、漢字を教える時は注意している。
今回も中国字と日本字の違いということで説明したら、一人の学生が「教科書の字は中国と同じです」といった。確かに明朝体の教科書の籍は、竹の字の下の部分が並行で、中国の学生に近いともいえる。すると、別の学生が「<漢字を練習しましょう>にある籍の字は日本語式です」という。確かに「漢字を練習しましょう」は教科書体になっている。
そういえば、日本語の教科書も初級の本は教科書体になっていた。
今までこういう反応をした学生がいなかったので、びっくりした。

教科書体は「筆遣いや字形を書き文字(筆写の場合の文字)に近づけたもの」だ。黒板に先生が書く字に近く、子供たちが書き文字を覚えるのに役に立つ。私たちは小学校の間に竹冠の形も覚えていったのだ。中学からの教科書は、新聞などの出版物で見られる明朝体だが、書き文字としては小学校で習ったものを普通に使ってきた。竹冠の形はほとんどの日本人は教科書体が身についている。
http://ungaisoten.com/2014/02/10/教科書体と明朝体3/ ここに詳しい。

中国の学校では簡体字をならう。教科書にある明朝体かゴチック体のような活字の字をそのまま先生は黒板に書くのだろう。
簡体字だから日本の字と違うので(挙が举など)注意するとは、ちょっと意味が違っていた。


美しい文字を書く中国の少女のサイトがあった。何と「千字文」の簡体字版だ。https://news.livedoor.com/article/image_detail/17085507/?img_id=22412095
確かに美しい。
でも、書く字としての中国の竹冠はどうしても気になる。


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筆者の家族は?(中級から学ぶ日本語)より [日本語教育]

(三訂版)中級から学ぶ日本語8課おもいこむ
男の色女の色をテーマにした文。

答えましょうをやった時の事
4 筆者の家族はどんな家族でしたか。
の答えに「子供5人すべて男の家族」と出たので、「そうですね、お父さんとお母さんと
子供が5人全部男の子の家族ですね」といったら、「お母さんはいません」と学生たち、お母さんのことは書いてないという。
「そうね、書いてはいないけど、お母さんがいない理由に何も触れてない場合、お母さんはいることになっていると思う」と話したら、学生たちもそうかもしれないという気持ちになったようだ。
IMG_3227.jpg
初版では、お父さんが「一人でも女の子がいたらなあ」と言った時、おかあさんが「私も女ですよ」と対応していたが、三訂版には、お母さんのせりふが消えていたことに気が付いた。お母さんの語自体が出てこない。
IMG_3228.jpg
三訂版と初版を比べてみると、かなり書き直してある。テーマは初版では「あらわす」
三訂版は「おもいこむ」。男女を表す色があったという初版から男女の色分けは思い込みであるという三訂版の主張に代わってきた。
ほかにも
5 お父さんは何が女の色だと思っていましたが
  三訂版では明るい色 赤い色が答えだが 
初版だとピンクと赤が女の色と明確に書いてある。

三訂版はすっきりしているといえばすっきりしているが、面白みに欠ける。

家族を辞書で引くと「同じ家に住む夫婦親子兄弟など」とあるので、やはり「お父さん、お母さん、男の子が五人の家族」でいいと思う。

講師室で他の先生に聞くと、やはり、お母さんがいるという認識を持っていた。初版の「私も女ですよ」のせりふも覚えていた人もいた。


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~がたい [日本語教育]

TRY!N2 126~がたい
説明に「~がたい」は「~するのは難しい、なかなかすることができない」という風に書いてあった。「がたい」は「難い」と漢字で書くのだが、「難しい」という意味だけでは使っていないような気がする。むしろ、「できない」という意味合いで使っていると思う。

「表現文型500」で調べてみた。
やはり、「そうすることは難しい、不可能だ」と書いてあった。

例文では
弱いものをいじめるとは許しがたい行為だ(表現文型)。
この条件では、鈴木商事からの合併の申し出は受け入れがたい。(TRY!N2)
どちらも、不可能であるといっていると思う。

「表現文型」の方では、それに加えて「能力的にできない」場合は使わないとある。
・私には、パソコンは難しくて使い難い。×
・まだけがが治っていないので、長い時間は歩き難い。×
の例が挙げてあったが、使うような気もする。もう少し調べてみよう。

「難い」は「がたい」のほかに「にくい」とも読む。
「にくい」の方は、正に「することが難しい」という意味だ。
「使いにくい、歩きにくい」できないのではなく、「やろうと思えば、大変だけどできる」
という意味だ。

「がたい=不可能
 にくい=大変だけどやればできる」
という風に教えた方がいいと思った。


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