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イヌ 犬 狗 [日本語教育]

先週の日経の朝刊に「犬と日本人」という連載記事があった。イヌ.png
「犬は7世紀に朝鮮半島から持ち込まれたことが『日本書紀』の記述にある」
とあった。
確か犬の土偶もあった記憶があるので、犬はもっと昔から日本にいたのではないかと、ちょっと疑問に思った。
また、日本書紀にどんな記述があったのかも記憶になく、調べてみたくなった。本棚から日本書紀を引っ張り出してきたが、どこに書いてあるか探すのは大変だ。
結局ネットの助けを借りて、何か所かある犬の記述を読んでみた。
一番古いのは日本書紀巻六-垂仁天皇-「昔、丹波の国に甕襲(みかそ)
という人がいて、その家に足往(あゆき)という犬がいた。この犬は山の獣のムジナを食い殺した。これの腹の中に大きな勾玉があったので献上した。これは石上神宮に今もある」
次が巻十四-雄略天皇-「冬10月鳥の司の禽が寃田の人の犬に喰われて死んだ。天皇は怒って顔に入れ墨をして鳥養部とした。」入れ墨の刑罰だ。
秋8月分石小麻呂が暴虐で、租賦も納めないので、天皇は兵を遣わし小麻呂の館を焼いた。すると、炎の中から白い犬が暴れ出た。大きさようだった。切られると、それは小麻呂に変わった。
次が巻十八安閑天皇-国々の犬養部を置いた。(狩猟のため?)
次は巻二十一崇峻天皇 「捕鳥部万が戦いに敗れて、屍がさらされた時、万が飼っていた白犬が主人の切られた首を守って飢え死にした。朝廷はそれを哀れんで犬と主人をの墓を並べて作り葬った」という忠犬の話
そして、巻二十九天武天皇 「十七日 新羅が・・・・朝貢した。調物は、金、銀、鉄、鼎、錦、絹、布、皮、馬、狗(いぬ)、騾、駱駝の累、10余種。・・・」

 始めに犬の記述があり、最後のが狗(いぬ)。この二つの違いは犬が大型犬で、狗が小型犬で愛玩用なのだそうだ。日経の記事は朝鮮半島から愛玩用の小型犬が贈られてきたことを書いてあったのだ。納得!


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樺下駄 [日本語教育]

テレビで角館の樺下駄のことをやっていたのを見ているうちに、欲しくなってネットでポチっと買ってしまった。コロナも収まってきてそろそろ着物で出歩いてもいいか。https://ldt.co.jp/kaba/komono/index4.html


樺は桜の皮、樺下駄はそれを桐の下駄に張ったもので美しく汚れにくいそうだ。
「角館伝四郎」のホームページを見るとローマ字でkabazaiku とある。桜の皮をはいで2年くらい乾燥させて、そのまま、使ったり、または外皮をはがして茶色っぽい色になったものを磨いて、茶入れや下駄に貼るのが樺細工。

それにしても、桜なのになぜ樺なのか。
辞書には
樺(かば)①樺の木 シラカバ、ダケカンバなどの総称。
②桜の木の外皮
とある。
ホームページには、その由来も書いてあった。「その語源は万葉集の長歌の中で、山桜を「かには」と表現したものが後に「かば」に転化したと言われています。」

万葉集を調べると山部赤人の歌で淡路島のあたりを船で行く情景を詠んでいる歌だ。
「櫻皮纒 作流舟二・・かにはまき作れる船に」
船に桜の皮を貼っている=かにはまき 
かにはまき→ かばまき と変化した。つまり、「かには」が「かば」、「かには細工」が「樺細工」に変化した。

櫻皮(かには)は、白樺(しらかば)の樹皮だという説もあり、かにわ・かんば・かば と変化したというが、白樺と桜の樹皮は全然違う、白樺は細かくはがれてしまうので
これは違うと思う。

いろいろ説明を見ても、いまいちはっきりしないが、今は「樺下駄」が届くのを楽しみにしている。


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正反対 [日本語教育]


次のような問題について質問があった。
・・・失敗を恐れて行動しなければ、失敗を避けることができるが、その人は何もできないし、何も得ることはない。(これと同様に これに比例して これとは正反対に これとは別に)失敗することを全く考えず、ひたすら突き進むことを好む人もいる。・・・・・


正反対が正解だが、正反対ということばに、ピンとこないミャンマーの学生。
正しいと反対の結びつきが不思議だったそうだ。「反対」には正しくないという感じがするようだ。「反対の方向へ行ってしまった」とか。

「正」には「正しい」という意味のほか、「混じりけがない・本当の」という意味がある。漢字圏の学生なら問題にならない「正」の使い方だが。「正方形、正三角形」などの例をあげると、そうかと納得してくれた。

「正反対」のことを「真反対(まはんたい)」という人もいるようだ。「真逆(まぎゃく)」という言い方も聞いたことがあるが、新しい言い方だろう。私の持っている辞書には載っていなかったが、今回ネットで調べてみると、広辞苑に入れられたということが書いてあった。
「真逆」は、我々の年代だと「まさか」と読んでしまう。

こういう漢字はJLPTには出ないだろうが、どこかで出会ったら、学生はまた混乱するだろうな。



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ものか ことか [日本語教育]


N1の自習を始めたミャンマーの学生から質問が来た。
(   )に入る言葉はどれか。
*人権を無視した悲しいニュースを見るたびに、世界から差別が(        )と強く願う。
なくならないものだろうか  なくならないことだろうか 
なくなることだろうか    なくなるものだろうか

A 「~ものか」は、強い否定の意味があることを説明した。
「死ぬものか。負けるものか」
B そして、「~ないものか」は「~そうあってほしい」と強く願う意味であると
説明した。「合格できないものか、」


世界から差別がなくならないものだろうか〇 ~がなくなってほしい=Bの使い方
なくならないことだろうか×この使い方はない
なくなることだろうか×この使い方はない
なくなるものだろうか×・・・Aの使い方 
世界から差別がなくなるものだろうか。
      いや、絶対になくならない という意味です。


説明している時、この問題とは関係ないが、どんな時に「もの」、どんな時に「こと」を使うのか気になった。

★「もの」を使う場合
あるか/ないか+ものか 動詞否定形+ものか 
1,いい話がないものか ・・・ いい話があってほしいと強く願う。
いい話がないことか ×この使い方はない
2,合格できないものか・・・何とかして合格したいと強く願う。
世界から差別がなくならないものだろうか・・世界から差別がなくなってほしい
合格できないことか×この使い方はない
3,そんな話があるものか・・・そんな話はぜったいない
そんな話があることか×この使い方はない
4、なくなるものだろうか・・・いや、なくならない。 
どんなに世の中が進歩しても、差別がなくなるものだろうか。
いや、なくならない という意味。
なくなることだろうか×この使い方はない


★ことを使う場合
形容詞・動詞+ことか
どんなにくやしかったことか=とてもくやしかっただろう
どんなにくやしかったものか ×この使い方はない
どんなに悩んだことか・・・とても悩んだ
どんなに悩んだものか ×この使い方はない
堤防があれば、何名の命が救われたことだろう。=たくさんの命が救われただろう
堤防があれば、何名の命が救われたものだろう。×この使い方はない

ここで生きることがどれほど難しいことか分かってくる〇
ここで生きることがどれほど難しいものかわかってくる〇△(どちらも言えそうだ)

また、考えることになりそう。


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不 無 非 未 [日本語教育]

N2の語彙では、区別をつけにくいものが多い。

「不 無 非 未」の使い分けは、わかりやすい所と分かりにくい所がある。

「不」・・・~しない、~ではない  副詞や名詞につくと書いてあるものが多いが、動詞にもつくと思う。
  不明・・・明らかでない  不安・・・安心できない  
不幸・・・幸福でない
  不要不急・・・どうしても必要ではない、急がない
  不利益・・・利益にならない 不愉快・・・愉快ではない
  不眠不休・・・眠らない休まない  不動・・・動かない 不信・・・信じない
「無」・・・存在しないこと
  無人・・・人がいない
  無欲・・・欲がない
  無視・・・見ることがない→関心を示さない
「非」・・・~ではない、
★~あるべきものがないというような感情が入ることが多い。
  非常・・・普通ではない(非常口、非常時)
  非合法・・・法律違反
  非礼・・・礼儀正しくなく失礼なこと
  非人間・・・人間とはいえないひどい人
  非国民・・・国民として認められない
  ★~にしない(主催者が決める)・・これは感情が入るというよりしない
という意思が込められていると思う。
  非公開・・・公開しない 非公式・・・公式にしない
「未」・・・まだ~ではない
  未来・・・まだ来ていない先のこと
  未知・・・まだ知られていない  これから知られ
  未完成・・・まだ完成していない これから完成するだろう

このような分け方で説明しようと思っている。学生の反応をみて、書き足すつもり。

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